資産とは違う、企業の純資産って何?貸借対照表の見方(2)

こんにちは!ポポです。

今回は貸借対照表の中に記載されている三大要素である、資産・負債・純資産のなかの「純資産」について詳しく解説していきたいと思います。

三大要素には見分けづらい資産と純資産があってどっちがどっちだかわからないことがありますよね。まずは三大要素の関係から確認していきましょう。

資産=負債+純資産

となっているのが貸借対照表のポイントです!

純資産は自分の持っているお金(資産)の中から借金の分(負債)を引いた分になっています。後で返す必要のないお金のことだと考えてもよいでしょう。

それでは、いきなりですが本当にある会社の決算書を見てみましょう!

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シャープ株式会社HPより

こちらに示しましたのは、2016年に台湾のホンハイ精密工業によって買収された電機メーカー、シャープの貸借対照表です。会社のHPのIR情報というところから簡単に確認することができますし、EDINETというWEBサイトでも閲覧することができます。

純資産の種類

純資産は大きく分けると「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3つになります。子会社がある場合には追加で「被支配株主持分」という項目が追加されます。

純資産のメインは「株主資本」となりますが、ほかの純資産にもよく注意しなければなりません。

それぞれの純資産についてより深く見ていきましょう!

株主資本

株主資本の中にも「資本金」「資本余剰金」「利益剰余金」「自己株式」の4つの項目に分かれます。

「資本金」と「資本剰余金」は株主が会社に出したお金であり、「利益剰余金」は会社の利益のたくわえです。また、自己株式は会社が発行した株式を会社自らが買い取って保有しているものになります。

資本金・資本剰余金

資本金とは、会社が発行した株式を投資家が購入した分の金額になります。

しかし、出資してもらったお金をすべて資本金としてどんどん使って行ってしまうと、たとえば会社の赤字が続いた場合は会社の資本金を減らす、減資という手続きをしなければなりません。

減資は会社の使えるお金が減るということなので、会社の規模の縮小を意味します。そのため、投資家から出してもらったお金を資本金とは別に資本剰余金として使わないでおいておくことで不測の事態に備えておくことが大事になります。

利益剰余金

利益剰余金は会社が稼ぎ出した利益のたくわえです。会社が稼ぎ出した利益の一部は株主に配当金として支払われ、それ以外が貸借対照表に利益余剰金として計上されます。

つまり、会社がどれだけ利益の貯金を持っているかということが表されています。

利益剰余金には、もしも経営がうまくいかなくなった時のために残しておく「利益準備金」と、ほかに特に使い道の決まっていない「繰越利益剰余金」などがあります。

自己株式

自己株式を買うということは、株主に出資してもらうのとは逆に、出資してもらったお金を返すということです。そのため、お金は会社から出ていくことになりますので、決算書にはマイナス(△)として記載されます。

自己株式を購入すると、会社からお金は出ていきはしますが、市場に出回っている株式の数が少なくなって結果的に株価が上がることも期待できます。

評価・換算差額等

評価・換算差額等は上の決算書上ではその他の包括利益累計額に当たります。この中でも代表的なのは、「その他有価証券評価差額金」です。

この「その他有価証券評価差額」というのは投資有価証券を時価で評価した際に生じる評価損益のことです。

投資有価証券とは売買のための有価証券、社債や株のことで、これらは買った時から時間がたつと価格や価値が変わってきます。そのため、評価損益として今の価格から買った時の価格を差し引きした額を計算しておきます。

なぜ、差し引きした額のみを計算するのかというと、同じ貸借対照表内の資産の部の固定資産に現在持っている有価証券の時価を計上しているためです。よって、有価証券による会社の成績を見るにはこちらを見ると間違いがないわけです。

新株予約券

いよいよ、最後になります!

新株予約権は株式を一定の価格で取得できる権利のことです。

皆さんが株式を購入するときはテレビなどで発表されているような感じで時間ごとに株価が変わっていくのを見ながらいい値段になったら購入する、というのが普通です。

しかし、この権利はすでにこの値段で何株買える、というものです。たとえばある会社の株を100円で買える新株予約権を持っているとしましょう。この会社の株価が仮に200円に上がるタイミングでこの権利を行使しますと、本来は200円で買わなければならないものを100円で安く手に入れられたことになります。

これってすごくお得だと思いませんか?権利を持っている状態では何もリスクを負っていない状態で、株価が上がるのを待てばいいわけですから。

このお金は、会社にとってゆくゆくは資本金になるものであるため、純資産の部に新株予約権として記載しておくのです。

被支配株主持分

被支配株主持分は子会社の資本のうち、親会社が所有していない部分のことです。

子会社でも、親会社が100%株をもってすべての資本を出しているとは限りません。たとえば、親会社が子会社の発行株式のうち60%の株式を所有しているとすると、ほかの40%は親会社の支配外にあるということが言えますよね。この分の金額を被支配株主持分といいます。

最後に

いかがでしょうか?まずは純資産について、資産との違いが分かるだけでも十分な成長です。純資産は主に株のことが関係していることが分かったと思います。

これからも会計についてもっと勉強して、日常に役立てていきましょう!

それではまた!