決算書にはたくさん種類がある?財務三表以外の財務諸表を紹介。

こんにちは!ポポです。

 

皆さんは財務三表のことは知っていますか?知らなければこの記事を読む前にこちらの記事から読んだほうが分かりやすくなっていると思います。

 

ある程度勉強した方ならわかると思います。「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つですよね。

 

しかし、この名称が正式に登場するのは個別企業の年一回の発表だけなのです。

 

他にも会社は多くの財務諸表を年に数回発表していて、それらも詳しく投資、企業分析をするにはとっても重要な指標になってきます。

 

この記事では、こういったほかの多くの財務諸表の種類について紹介していきますので、今回も一緒に学んでいきましょう!

 

それではいきます。

 

四半期財務諸表

これまでの財務三表が主に指していたのは年度の財務諸表のことです。これらは、個別企業が年度末に会社のお金を計算したものを発表することですよね。

 

これに対して、四半期財務諸表という決算書があります。四半期というのは、3か月を一つとした期間の単位です。年度末が3月の会社なら、第1四半期は4~6月、第2四半期は7~9月、第3四半期は10~12月、第4四半期は1月から3月となります。

 

四半期財務諸表はこういった機関の節目に会社のお金を計算して発表するものということになります。特に大きな会社では1年ごとの発表では事業が多すぎて外部の人からは何をしているのかわからない、といった理由で公表しています。

 

連結財務諸表

 

会社には親会社と子会社がありますよね。その親会社がとても大きな規模で事業をしているなら、複数の子会社を持っていたり、子会社の子会社があったり、と親会社だけの財務諸表ではその事業全体が把握することが困難な場合があります。

 

また、親会社が営業の成績が悪いからと言って自分のグループである子会社にモノを売りつけて親会社の財務諸表は黒字になっている、というような粉飾決算もあり得る話です。

 

こうしたことから、複数の会社で構成されている企業グループを、一つの企業であるかのようにみなして作成する財務諸表があります。それが連結財務諸表です。親会社と子会社同士が連結しあっている、という意味ですね。

 

この財務諸表では粉飾決算を防ぐために、親子会社間の取引は内部取引とみなされて差し引きゼロに相殺されて計上されません

 

連結貸借対照表

 

連結貸借対照表は企業グループを一つの会社としてみたときの貸借対照表と思ったら大丈夫です。連結貸借対照表では親会社が子会社に対して出資している分の投資と子会社が親会社から出資してもらった分の資産はもちろん相殺されますし、親子間のお金の貸し借り(債権・債務)も相殺されます。

 

ほとんどは個別の貸借対照表と同じ内容なのですが、連結貸借対照表に特有の項目というものもあります。

 

非支配株主持分

 

親会社は通常は子会社の株式の50%以上をもって議決権、つまりは支配権をゲットできます。ですので、子会社の株式を持っている株主は親会社以外にも存在することがあります。つまり、この株主の出資は相殺されないお金として計上する必要があります。この分を非支配株主持分といいます。

 

為替換算調整勘定

 

会社が海外にも進出しているとなると、海外での売り上げもありますよね。その金額を日本の決算書に計上する場合、お金の単位を円に換算して載せることになります。しかし、ドル円やユーロ円の価値は時々刻々と変化するため、いつ円に戻しているかで、換算がややこしくなります。そのため、為替換算調整勘定という項目を設けて、最終的な計算の調整をします。

 

連結損益計算書

 

連結損益計算書も企業グループを一つの会社としてみたときの損益計算書と思ったら大丈夫です。連結損益計算書では親会社と子会社の売買や利息の支払いなどを相殺します。

 

連結損益計算書に特有の項目もあります。これからざっと紹介します。

 

税金等調整前当期純利益

 

この項目は個別の損益計算書の「税引き前当期純利益」に相当するものです。経常利益に特別利益を加算し、特別損失を減算したものです。特別利益・損失とは毎年発生するわけではない、一回きりの損益のことです。

 

親会社株主に帰属する当期純利益・被支配株主に帰属する当期純利益

 

グループ全体の当期純利益の内訳には、親会社株主に帰属する当期純利益と非支配株主に帰属する当期純利益があります。個別にみることで親会社の株主にとっての重要な情報も手に入ります。

 

持分法による投資利益

 

持分法(もちぶんほう)とは、親会社に連結する子会社のほかにも、関連会社や非連結子会社の親会社に帰属する損益に対してかかる法律です。

 

たとえば親会社が30%の株式を保有している関連会社が1000万円の当期純利益を計上した場合、300万円が親会社に帰属すると考えられます。この場合、「持ち分法による投資利益」の項目に300万円がプラスとして計上されます。

 

為替換算調整勘定

 

連結損益計算書にも連結貸借対照表と同じように為替換算調整勘定があります。損益にも為替の変動は無視できないということですね。

 

連結キャッシュフロー計算書

 

持分法による投資利益

 

連結キャッシュフロー計算書にも連結損益計算書と同じように「持ち分法による投資利益」の項目があります。

 

非支配株主への配当金の支払い額

 

親会社への配当金の支払いは内部取引ですが、非支配株主への配当金の支払いは外部とのやり取りなので明確に支出として連結キャッシュフロー計算書に計上されます。

 

連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得(売却)による支出(収入)

 

連結の範囲とは連結財務諸表に計上される子会社の範囲です。計上されない子会社はその資産、売上高などがグループ全体の成績に大きくかかわらないとして連結子会社といいます。

 

この範囲を変更するとグループ全体のキャッシュフローに影響が出るので、この項目を作ってその金額を計上します。

 

連結包括利益計算書

 

包括利益とは、企業グループの純資産の変動のうち、親会社株主や子会社の非支配株主との資本取引を除いた部分のことです。

 

簡単に言うと、包括利益計算書は企業の最終的な儲けである当期純利益に資産・負債価値の変動分を加味した利益を計算したものになっています。(詳しくはこちらの記事で解説しています。)

 

連結資本等変動計算書

 

連結資本等変動計算書は貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額を報告する決算書です。

 

以前と比べて純資産は増えたのか減ったのかを、詳しい項目で記載したものでなぜ純資産が増減したのかがはっきりとわかる決算書です。(詳しくはこちらの記事で解説しています。)

 

最後に

 

どうでしょうか?基本的な考え方は財務三表に関係しているので、すでに勉強している方にはわかりやすくなっていると思います。

 

もっと知りたいなと思ってもらったら決算書入門のカテゴリーから好きな記事を選んで読んでみてください!

 

それではまた!

お金の流れが分かる!! キャッシュフロー計算書

こんにちは!ポポです。今回は決算書入門その3として、財務三表の最後の一つである、キャッシュフロー計算書について勉強していきましょう!

 

キャッシュフロー計算書の具体例

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https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/19q4_sony.pdf

ソニーHPより

 こちらに示しましたのは、日本の電機メーカーSHARPキャッシュフロー計算書です。このような上場企業の財務諸表なら、企業のホームページのIR情報というところで誰でも簡単に確認することができますし、EDINETというwebサイトでも閲覧することができます。

キャッシュフロー計算書の基本要素

 

会社の現金の流れ、つまりキャッシュフロー(CF)には三種類あります。「営業CF」「投資CF」「財務CF」です。

 

会社のお金が動くのはこれらの3つの活動ですので、これらのキャッシュフローを合計することで1年間のお金の増減額が求められます。

 

「営業CF」+「投資CF」+「財務CF」=「1年間のお金の増減」

 

このように、キャッシュフロー計算書は、会社の一年間の活動においてどんな理由でお金が入ってきて、どんな理由でお金が出ていったのかをあらわした表のことです。

 

それではそれぞれのCFの区分について、しっかり押さえていきましょう!

 

営業活動によるキャッシュフロー

 

キャッシュフロー計算書の最初の区分が、営業CFです。会社が商品やサービスを売るときのお金の流れが記載されているため、キャッシュフロー計算書の中でも最も重要な区分です。

 

営業CFがプラスなら本業が黒字ということを示しており、マイナスなら本業がうまくいっていないことを示します。そのため、営業CFが数年マイナス続きなら、その会社はいずれ資金繰りに行き詰ってしまい、倒産する可能性が高いと考えることができます。

 

投資キャッシュフロー

 

投資活動によるキャッシュフローは2番目に来る区分です。名前の通り、投資に伴う現金の流れが記載されています。投資の内容を大きく分けると、次の二つに分けることができます。

 

一つ目は会社を発展させるための投資。会社の工場や機械、設備などへの投資が該当します。二つ目は株式投資など、お金を有効に利用するための資金運用です。株式を購入すればお金が出ていきますし、逆に株式を売却すればお金が入ってきます。

 

投資CFはマイナスのほうが良い。

 

投資キャッシュフローを見れば、その会社が将来発展するかどうか推測することができます。製造業は設備投資、外食業は店舗拡大など、投資は会社の発展には欠かせないため、お金が出ていこうともどんどん投資していくことが大切です。そのため、投資キャッシュフローはマイナスであることが望ましいといわれています。

 

反対に、投資キャッシュフローがプラスなら資金繰りが苦しくなっている結果、資産や株式を売却して資金を確保した可能性があります。そのため、全体を見通して経営の判断をする必要があります。

 

財務活動によるキャッシュフロー

 

最後の区分が財務キャッシュフローです。財務とは、会社の資金調達の活動のことで、主な調達方法は借金です。借金にも種類があり、銀行から借り入れる借金と社債を発行して投資家から借りる借金があります。また、借り入れには長期にわたって返済できるタイプと短期で返さないといけないタイプがあります。

 

資金調達のもう一つは株式の発行です。株主から出資してもらったお金は返す必要はないものですが、利益が出ていれば株主に配当金として還元するお金を支払うことが一般的であり、この支出も記載されます。

 

借金は絶対に悪というわけではありません。借金が増えていてもその分会社の拡大のために使われる投資が増えていればそれはポジティブな意味の借金です。また、借金が減っていても借金の返済に追われていて本業の営業がうまくいっていないという可能性もあります。

 

フリーキャッシュフロー

 

フリーキャッシュフローとは次のような式で表されます。

 

フリーCF=営業CF+投資CF

 

フリーCFは文字通り会社が自由に使えるお金です。財務CFを除く理由は、借り入れてきたお金は完全に自由に使うことはできません。個人でも、借金してまで投資しようとする人はいないですよね。また、式の中の投資CFの中でも今の事業を維持するためのものに限定されます。基本的には必要最低限の設備投資や配当金などです。

 

フリーCFはいうまでもなくプラスのほうがもちろん良いです。マイナスが意味するのは手元にお金がない、ということですので、これが続くようならかなり危険な会社です。しかし、フリーCFがマイナスでもその年にたまたま営業成績が悪かったのか、設備投資に多く回したのかを内容から判断する必要があります。

 

総合的なキャッシュフロー計算書の見方

 

それぞれの区分を単体で見ていても会社全体がうまくいっているかどうかは判断できません。

たとえば、営業CFが大きくプラスでも投資キャッシュフローがプラスなら設備投資に消極的で将来性が心配されますし、営業CFがマイナスで財務CFがマイナスなら銀行への返済が切羽詰まっているのに、返す資金が稼げていないため、倒産に非常に近い状態ということになります。

 

このようにその会社の良し悪しは各区分を単独で見て判断するのではなく、トータルで見て判断することが重要です。

 

最後に

 

いかがでしたか?この記事を読み終わったときもう一度、上にあるシャープの決算書に目を通してみてください。2018年から2019年にかけて改善しているなという印象が受けられるようになったのではないでしょうか?これが分かってくると勉強がもっと面白くなりますよね?

 

それではまた!

会社の負債って借金のこと?貸借対照表の見方(3)

こんにちは!ポポです。

今回は貸借対照表の中に記載されている三大要素、資産・負債・純資産のなかの「負債」について詳しく解説していきたいと思います!(貸借対照表の記事はこちら!)

負債は会社の借金のことです。借金と聞くと色々悪いイメージがあるかもしれません。しかし、どんな会社でも負債なしに経営できるものではありません。今回の記事で正しい負債の見方を身につけて、実際の業務や投資活動に活かしていきましょう!

それではいきなりですが、具体的な決算書を見ていきましょう!

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シャープ株式会社HPより

こちらに示しましたのは、2016年に台湾のホンハイ精密工業によって買収された電機メーカー、シャープの貸借対照表です。会社のHPのIR情報というところから簡単に確認することができますし、EDINETというWEBサイトでも閲覧することができます。

負債の種類

負債は大きく分けると「流動負債」と「固定負債」があります。

「流動負債」と「固定負債」の違いは短期的に返済しなければならないか、長期的に返済しなければならないかという違いです。具体的には1年以内に返済しなければならないかということで分類されます。

それではこの2種類の負債についてもっと深く見ていきましょう。

流動負債

流動負債とは、1年以内に支払期限がやってくる負債のことです。商品代金の支払いなどはすべて流動負債に含まれます。また、銀行からの借り入れも返済期限が1年以内の短期借入なら流動負債に計上されます。

仕入れ債務

仕入れ債務とは、買掛金や支払手形など、商品やサービスを買ったときに後で支払うという約束のお金です。流動負債の中で多くを占めるのがこの仕入れ債務です。

私たちの日常でもクレジットカードでお買い物したときは即引き落としにはならず月末に請求が来ますよね。それと似た考え方をすれば、仕入れ債務が多くてもそれを買うお金があるつもりで購入しているものなのです。

短期借入金

次にわかりやすいのは銀行などの金融機関に対する借金である、短期借入金です。ただし、返済期限が1年以内のものをここでは流動資産と計上されます。

商売の世界では商品を買ってあとで2~3か月してから入金されるのが普通です。ですのでこの短期借入金はその現金が入るまでのつなぎ資金などに用いられる融資です。

引当金

流動負債の欄の中には引当金(ひきあてきん)と記載されているものがあります。これは将来の支出に備えるために、あらかじめ計算して用意しておくためのものです。

引当金に計上された金額は、将来、支払いが行われてお金が出て行ってしまうので負債として計上しておきます。

有利子負債

有利子負債は決算書の項目として直接出てくるものではないのですが、会社の利益を左右する大事なものです。利子がある、と聞くと皆さんに分かりやすいのは銀行やアコムなどの金融機関からの借り入れですよね。

利子とは、借りたお金を返す時に借入金額の何%という計算で上乗せして払うお金ですので、有利子負債の金額が多ければ多いほど出ていくお金も多くなります。つまり、有利子負債の多い会社は利益が生じにくくなってしまっているため、ここに注目することは非常に大切なのです。

固定負債

固定負債とは、1年を超えて返済することのできる負債です。皆さんの身近な例で行くと35年の住宅ローンや携帯料金の24か月分割払いなどがこれに当てはまります。

ゆっくり払うことができるので固定負債が多いといっても月にどれくらい出ていくかにより注目したほうがいいでしょう。また、相手からゆっくり返してもいいよと言われることは逆に考えると信用の表れともいえます。

長期借入金・社債

長期借入金は金融機関からの長期的な借金のことで、社債は投資家からお金を借り入れることです。社債というのは会社があらかじめ返済期限を設けて発行する債券です。通常は返済期限は1年以上ですので固定負債に含まれます。

引当金

流動資産にも引当金に計上されるものがあります。それは退職給付引当金です。これは従業員が退職した時に支払う退職一時金や退職年金のために会社が備えておくためのものです。退職金は20年30年にわたって積み立てたものを支払うため、支払いが1年超の固定負債に計上されることになります。

最後に

いかがでしょうか?負債に関しては悪いイメージしかなかったかもしれませんが、たとえば固定負債は多くても悪いことではない、ということが分かったと思います。

これからも会計についてもっと勉強してよい投資家になりましょう!

以上です。

資産とは違う、企業の純資産って何?貸借対照表の見方(2)

こんにちは!ポポです。

今回は貸借対照表の中に記載されている三大要素である、資産・負債・純資産のなかの「純資産」について詳しく解説していきたいと思います。

三大要素には見分けづらい資産と純資産があってどっちがどっちだかわからないことがありますよね。まずは三大要素の関係から確認していきましょう。

資産=負債+純資産

となっているのが貸借対照表のポイントです!

純資産は自分の持っているお金(資産)の中から借金の分(負債)を引いた分になっています。後で返す必要のないお金のことだと考えてもよいでしょう。

それでは、いきなりですが本当にある会社の決算書を見てみましょう!

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シャープ株式会社HPより

こちらに示しましたのは、2016年に台湾のホンハイ精密工業によって買収された電機メーカー、シャープの貸借対照表です。会社のHPのIR情報というところから簡単に確認することができますし、EDINETというWEBサイトでも閲覧することができます。

純資産の種類

純資産は大きく分けると「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」の3つになります。子会社がある場合には追加で「被支配株主持分」という項目が追加されます。

純資産のメインは「株主資本」となりますが、ほかの純資産にもよく注意しなければなりません。

それぞれの純資産についてより深く見ていきましょう!

株主資本

株主資本の中にも「資本金」「資本余剰金」「利益剰余金」「自己株式」の4つの項目に分かれます。

「資本金」と「資本剰余金」は株主が会社に出したお金であり、「利益剰余金」は会社の利益のたくわえです。また、自己株式は会社が発行した株式を会社自らが買い取って保有しているものになります。

資本金・資本剰余金

資本金とは、会社が発行した株式を投資家が購入した分の金額になります。

しかし、出資してもらったお金をすべて資本金としてどんどん使って行ってしまうと、たとえば会社の赤字が続いた場合は会社の資本金を減らす、減資という手続きをしなければなりません。

減資は会社の使えるお金が減るということなので、会社の規模の縮小を意味します。そのため、投資家から出してもらったお金を資本金とは別に資本剰余金として使わないでおいておくことで不測の事態に備えておくことが大事になります。

利益剰余金

利益剰余金は会社が稼ぎ出した利益のたくわえです。会社が稼ぎ出した利益の一部は株主に配当金として支払われ、それ以外が貸借対照表に利益余剰金として計上されます。

つまり、会社がどれだけ利益の貯金を持っているかということが表されています。

利益剰余金には、もしも経営がうまくいかなくなった時のために残しておく「利益準備金」と、ほかに特に使い道の決まっていない「繰越利益剰余金」などがあります。

自己株式

自己株式を買うということは、株主に出資してもらうのとは逆に、出資してもらったお金を返すということです。そのため、お金は会社から出ていくことになりますので、決算書にはマイナス(△)として記載されます。

自己株式を購入すると、会社からお金は出ていきはしますが、市場に出回っている株式の数が少なくなって結果的に株価が上がることも期待できます。

評価・換算差額等

評価・換算差額等は上の決算書上ではその他の包括利益累計額に当たります。この中でも代表的なのは、「その他有価証券評価差額金」です。

この「その他有価証券評価差額」というのは投資有価証券を時価で評価した際に生じる評価損益のことです。

投資有価証券とは売買のための有価証券、社債や株のことで、これらは買った時から時間がたつと価格や価値が変わってきます。そのため、評価損益として今の価格から買った時の価格を差し引きした額を計算しておきます。

なぜ、差し引きした額のみを計算するのかというと、同じ貸借対照表内の資産の部の固定資産に現在持っている有価証券の時価を計上しているためです。よって、有価証券による会社の成績を見るにはこちらを見ると間違いがないわけです。

新株予約券

いよいよ、最後になります!

新株予約権は株式を一定の価格で取得できる権利のことです。

皆さんが株式を購入するときはテレビなどで発表されているような感じで時間ごとに株価が変わっていくのを見ながらいい値段になったら購入する、というのが普通です。

しかし、この権利はすでにこの値段で何株買える、というものです。たとえばある会社の株を100円で買える新株予約権を持っているとしましょう。この会社の株価が仮に200円に上がるタイミングでこの権利を行使しますと、本来は200円で買わなければならないものを100円で安く手に入れられたことになります。

これってすごくお得だと思いませんか?権利を持っている状態では何もリスクを負っていない状態で、株価が上がるのを待てばいいわけですから。

このお金は、会社にとってゆくゆくは資本金になるものであるため、純資産の部に新株予約権として記載しておくのです。

被支配株主持分

被支配株主持分は子会社の資本のうち、親会社が所有していない部分のことです。

子会社でも、親会社が100%株をもってすべての資本を出しているとは限りません。たとえば、親会社が子会社の発行株式のうち60%の株式を所有しているとすると、ほかの40%は親会社の支配外にあるということが言えますよね。この分の金額を被支配株主持分といいます。

最後に

いかがでしょうか?まずは純資産について、資産との違いが分かるだけでも十分な成長です。純資産は主に株のことが関係していることが分かったと思います。

これからも会計についてもっと勉強して、日常に役立てていきましょう!

それではまた!

会社の資産とは?貸借対照表の見方(1)

こんにちは!ポポです!

今回は貸借対照表の中に記載されている「資産」について詳しく見ていきましょう!(貸借対照表の記事はこちら!)

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シャープ株式会社HPより

こちらに示しましたのは、2016年に台湾のホンハイ精密工業によって買収された電機メーカー、シャープの貸借対照表です。会社のHPのIR情報というところから簡単に確認することができますし、EDINETというWEBサイトでも閲覧することができます。

資産の種類

資産は大きく分けると「流動資産」と「固定資産」があります。

流動資産」と「固定資産」の違いは一年以内に現金化できるかどうか、という違いです。たとえば、現金そのものや銀行に預けているお金は流動資産に当てはまりますし、土地や建物は簡単に現金化しないので固定資産になります。

それではこの二つについてもっと深く見てみましょう。

流動資産

流動資産現金そのものや一年以内に現金化できる資産です。流動資産の内訳は、実際の貸借対照表ではたくさんの項目がありますが、現金化のしやすさの順番で、大きくは3種類に分けることができます。「当座資産」「棚卸(たなおろし)資産」「その他の資産」の3つです。

当座資産

当座資産は現金にもっとも近い資産です。イメージがつきやすい銀行預金や、商品を掛けで売った時にお金を受け取る約束である売掛金、お金を儲けるための理由で株などを購入した時の有価証券がこれに当たります。もちろん現金もこれに含まれます。

当座資産は会社がいますぐ使えるお金の額を表していますので、会社の当面の支払い能力を示すことになります。

当座資産が豊富にあれば、経営者もお金をどうしようかと心配する必要もないですし、取引先の側もお金が必ず払われるという安心をもってその会社と取り引きできます。

棚卸資産

棚卸は「たなおろし」と読みます。棚卸は具体的には「在庫管理」のことを指します。つまり、棚卸資産商品や製品の在庫の金額のことです。

棚卸資産は在庫のほかにも、つくりかけの製品や製品を作るための原材料のたくわえも計算された金額を含みます。

棚卸資産は多ければ多いほどいいのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。在庫を多く抱えてしまっていて全然売れないときは棚卸資産の金額が増えますよね。こうなると商売もうまくいっていませんし、在庫の管理費も余分にかかってきてしまいます。

また、棚卸資産が少ないとどうなるでしょうか。こちらは在庫が少なくて品切れを起こしてしまう可能性があります。品切れを起こしてしまうと、せっかくのお客さんがほかの競争店に流れてしまいます。

棚卸資産は多すぎても、少なすぎてもいけません。適正な水準を保つことが最も重要なのです。

そのほかの資産

そのほかの資産には、「短期貸付金」「前払金」「前払費用」「未収金」などがあります。これらは用途こそ違っても実際上の意味としては今は現金や商品として払っているが、一年以内に返ってくるお金を意味しています。

固定資産

固定資産自社で長期で使う目的で購入した資産です。転売を目的として購入したものではないことに注意しましょう。この固定資産も大きく分けると3種類に分類できます。「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」です。

有形固定資産

形があって長期間使用する資産のことを有形固定資産といいます。たとえば、土地や建物、パソコンやプリンターなどの備品や移動用の車両なんかもこれに含まれます。

しかし、貸借対照表の有形固定資産の欄をよく見てみると減価滅却としてあとでマイナス(△)されていますよね。これはどういうことかというと、かたちあるものは使用していると価値が下がっていくということです。最近でいうとメルカリでの中古の服とか携帯とかがイメージしやすいですよね。

有形固定資産にはこうした、毎年の価値の減少分が減価滅却として記載されているのです。この減価滅却費は損益計算書にも記載されています。

ただし、土地は使用することによって価値が減少するわけではないので、買った時の金額がそのまま記載されています。

無形固定資産

無形固定資産は逆に、形のないもので長期間使用するものを指します。代表的なものでいうと権利やパソコンの有料ソフトウェアなどです。

また、無形固定資産の種類として、忘れてはならないものがあります。それ「のれん代」です。有名なラーメン屋さんの「のれん分け」なんかはこのイメージに近いです。つまり、「のれん」は店の信頼度や格式を示すものであり、会計上は収益を稼ぎ出す信用力など目に見えない力を指します。

のれん代」はほかの会社を買収した時に発生します。このときの意味合いとしては買収した会社の営業権みたいな感じです。

投資その他の資産

固定資産の最後の欄に来るのは「投資その他の資産」です。流動資産に計上される有価証券とは違って、長期的に保有する株がここに当てはまります。

長期的に保有する株とは何のことでしょうか。一つはほかの企業への資本参加を目的とする投資です。たとえば子会社の株式は親会社が発行済み株式の50%以上を保有する限りは経営権を握ることができます。一方で、長期の資産運用を目的とする投資でも、株を長期的に保持して、株価が上がってくるのを待ちます。

投資以外には、有形固定資産や無形固定資産に含まれない、そのほかの長期の資産がここに記載されます。

最後に

いかがでしたか?よく聞く固定資産やたなおろしなどの難しい言葉もこの記事を読むことでわかっていただけましたら幸いです。

これからももっと会計について勉強してよい投資家になりましょう!ではまた!

会社の財務がわかる?!「貸借対照表(B/S)」から分かる3つのポイント

こんにちは!ポポです。今回は決算書その3として、財務三表の二つ目、貸借対照表について学んでいきましょう!(その1,2はこちら!)

 

貸借対照表の具体例

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まず、具体的な貸借対照表から見ていきましょう

 

シャープ株式会社HPより

 

こちらに示しましたのは、2016年に台湾のホンハイ精密工業によって買収された電機メーカー、シャープの貸借対照表です。会社のHPのIR情報というところから簡単に確認することができますし、EDINETというWEBサイトでも閲覧することができます。

 

貸借対照表の基本要素

 

貸借対照表に記されている要素は「資産」「負債」「純資産」の3つから成り立っています。この決算書の最大のポイントは、

 

「資産」=「負債」+「純資産」

 

となっていることです。企業が公表している貸借対照表においては上半分の合計金額とした半分の合計金額が一致しています。

また、上半分が右側に、下半分が左側になっていることもあり、左右の金額の合計が一致してバランスが取れていることから、バランスシート(B/S)とも呼ばれています。

 

貸借対照表を読むと決算日の会社の財務状態がはっきりとわかるので、投資家や銀行家、自社の会社員も注目している決算書です。

みなさんも読み方を理解するとどの会社が借金で首が回っていないのか、ということも判断できるようになります。

それでは解説いきましょう。

 

資産の部

 

資産とは

資産は、「現金そのもの」か、「売ればお金になるもの」のことだと考えればOKです。

商品や建物、土地などはすべて売ればお金になりますので、これらは資産に計上されます。

 

 また、将来的にお金が入ってくるものも資産になります。たとえば受取手形や貸付金なども、約束の日が来たらお金が入ってくるので資産に計上されます。

 

資産の種類

 資産は大きく分けると「流動資産」と「固定資産」があります。

流動資産」は現金そのものや一年以内に現金化できる資産のことで、「固定資産」はそれよりも長期間使うことを目的として購入された資産のことです。

 

 将来的に費用になる資産か現金になる資産かという分け方もあります。前者を「費用性資産」といい、後者を貨幣性資産といいます。

 「費用性資産」は棚卸資産や固定資産など、ゆくゆくは売上原価や減価滅却費などの費用になります。一方、「貨幣性資産」は現金や預金、売掛金受取手形のことをいいます。

 

資産についてより詳しく解説した記事がありますので、興味があればこちらも是非お読みください!

 

負債の部

 

「負債」とは

「負債」とはイメージ通り、借金のことです。銀行からの借り入れが主な負債です。

また、商品を掛けで購入した時の代金の未払い部分である「買掛金」や、商品を購入した対価として仕入れ先に渡す「支払手形」などもあとから約束の日が来ればお金が出ていくものですので広い意味での借金、つまり負債に計上されます。

クレジットカードでの支払いみたいなものと考えればわかりやすいですね。

 

負債の種類

負債にも「流動負債」と「固定負債」があります。こちらの分け方も資産の場合と同じように一年以内に支払期限がやってくる負債のことです。

 「流動資産」にはさきほども出てきた買掛金や支払手形が含まれます。また、銀行からの借金も返済期限が一年以内なら「短期借入金」として流動負債に計上されます。

 「固定負債」とは家を買う時の35年ローンみたいに、一年を超えて返済することのできる負債です。

銀行からの借り入れである、「長期借入金」が計上されます。また、「社債」もこの固定負債に入ります。「社債」は投資家からお金を借りることで、通常は一年を超えて返済期限が来るので固定負債ということになります。

 

負債についてより詳しく解説した記事がありますので、興味があればこちらも是非お読みください!

 

純資産の部

 

純資産は「資産総額」から「負債総額」を差し引いた差額ということになり、主な純資産は「株主資本」のことと思ってもらって大丈夫です。「株主資本」のほかには「評価・換算差額等」「新株予約権」の2つがあります。これらに当てはまるのは負債とは違い、後でお金を返す必要がないということです。

 

株主資本とは

 株主資本は株主に出資してもらう「資本金」「資本余剰金」と、会社が過去に稼いだ利益のうち会社に残っている分の「利益余剰金」、自社の株を購入した金額である「自己株式」があります。

 「資本余剰金」は出資してもらった金額のうち、赤字などで会社の資本を減らさなければいけない事態に備えるための予備のお金といえます。すべてを「資本金」に回してしまうと不測の事態にうまく対応できないため、このような準備金を用意しておきます。

 会社が過去に稼いだ利益の一部は配当金として株主に還元されるのが普通であり、そのあまりが「利益余剰金」といいます。会社の積み上げている貯金という風に考えればわかりやすいのではないでしょうか。

 「自己株式」が増えるということは株主に出資してもらうのとは逆のこと、つまり出資してもらったお金を返すということになります。このとき資本金は減少するので、自己株式の金額の前にマイナスを表す△がつけられて表示されます。

 

株主資本やほかの純利益についてもより詳しく解説した記事がありますので、興味があればこちらも是非お読みください!

 

まとめ

「負債の部」と「純資産の部」を足した下半分の部分を「調達源泉」といいます。

これはお金をどこから調達してきたのかを示すものです。

それに対して「資産の部」である上半分は「運用形態」とも呼びます。

調達してきたお金の使い道を示しているためこういう呼び方があります。

そのため、この貸借対照表は上側と下側の金額がイコールの関係になりますし、

これを読むことで決算日に企業の財務状況が分かるのです。

 

いかがでしたか?この記事を読むことで少しは貸借対照表のことを読めるようになったと思います。最初のほうに戻ってシャープの貸借対照表を見ながら復習してみてください!

それではまた!

会社の儲けがわかる!!「損益計算書(P/L)」から読み取る5つの利益

 

 

 ポポです。今回は決算書入門その2として、財務三表の一つ、損益計算書について学んでいきましょう!

損益計算書の具体例

 まず、具体的な損益計算書から見ていきましょう。

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スカイマーク株式会社HPより 

 こちらに示しましたのは、日本の格安航空会社スカイマーク損益計算書です。このような上場企業の財務諸表なら、企業のホームページのIR情報というところで誰でも簡単に確認することができますし、EDINETというwebサイトでも閲覧することができます。

損益計算書の基本要素

 損益計算書に書かれてある要素は「収益」「費用」「利益」の3要素しかありません、非常に単純です。基本的な考え方は

利益」=「収益」-「費用

です。収益は費用を引く前の儲け、利益は費用を引いた後の儲けです。そして、上の表から分かる通り、利益の種類は5種類あり、それぞれが別の意味合いを持っているので、しっかり押さえていきましょう。

売上総利益

 売上総利益とは、[売上高-売上原価]のことです。つまり、商品やサービスによって稼いだ利益だといえます。

 売上総利益を大きくしたいなら、モノやサービスの値段を上げたり、これらをたくさん売って売上高を大きくするか、または安い材料費でモノを作り、売上原価を小さくするかという選択肢があります。

 一般的な会社には競合他社がいますので、価格競争のために安い材料費でものを作って大量にそれらを売ることが多くなり。このため、モノの値段を上げて売上総利益が大きいところはその会社しか作れない付加価値をつけられていることを意味します。

営業利益

 営業利益とは、[売上総利益―販売費および一般管理費]のことです。つまり、会社の本業によって稼いだ、実質的な利益だといえます。

 販売費および一般管理費家賃の支払いや給料の支払いなど、商売をするときに必要な費用のことです。ここをどう削るかが経営の腕です。

 たとえば、売上総利益が小さいのに営業利益が大きな会社は経営がうまくいっていることがわかりますし、逆に売上総利益が大きいのに営業利益が小さな会社は高すぎる人件費や家賃を払ってしまっていて経営が下手な会社だとわかります。

経常利益

 経常利益とは、[営業利益+営業外収益―営業外費用]のことです。つまり、営業以外の収益と費用を加味した、経営活動の成果だといえます。

 営業外収益や営業外費用とは、上の決算書にも一部記されていますが、銀行から借りたお金や社債の支払い利息や、資金運用した結果生じた儲けなど、本業以外での収益と費用のことです。

 「会社の利益」の話になると一般的にこの経常利益を指すくらい5つの利益の中でも重要な指標です。営業利益が大きくても経常利益が小さい会社は銀行からの借り入れに依存している状態にありますし、逆に営業利益が小さくても経常利益がそれを上回っているようなら、資本を十分に活用できている会社だということができます。

 

税引き前当期純利益

 税引き前当期純利益とは、[経常利益+特別利益―特別損失]のことです。こちらは、税金を引く前の利益です。

 特別利益、特別損失とは、毎年発生するような収益や費用ではなく、非日常的に出た臨時の収益や費用のことです。特別利益に計上されるのはほとんどの場合固定資産である土地や建物の売却益です。また、特別損失とは固定資産の売却損も計上されますが、自然災害によって生じた火災損失なども、数年に一度しか起こらないためこちらに計上されます。

当期純利益

 当期純利益とは、[税引き前当期純利益法人税]のことです。こちらが最終的な会社の利益となります。

 ここで引かれる税金は主に法人税ですが、このほかにも住民税事業税が存在します。これらはいずれも会社の利益に対して課せられる税金である点で共通しています。

 この当期純利益が一番下に記されるため、ここを黒字にしようと必死になる会社もあります。こういう会社は赤字が見込まれると固定資産を売却して特別利益を加えて黒字にしようとします。こういう会社に騙されないために5つすべての利益を見通し、判断できる能力を備えることが重要になることが分かると思います。

 いかがでしたか?この記事を読むことで全く分からなかった損益計算書の中身が分かって最初に載せているスカイマークの決算書の意味も分かってきたのではないでしょうか。それではまた!