お金の流れが分かる!! キャッシュフロー計算書

こんにちは!ポポです。今回は決算書入門その3として、財務三表の最後の一つである、キャッシュフロー計算書について勉強していきましょう!

 

キャッシュフロー計算書の具体例

f:id:tanpopo_raffflesia:20220131005349j:plain

https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/19q4_sony.pdf

ソニーHPより

 こちらに示しましたのは、日本の電機メーカーSHARPキャッシュフロー計算書です。このような上場企業の財務諸表なら、企業のホームページのIR情報というところで誰でも簡単に確認することができますし、EDINETというwebサイトでも閲覧することができます。

キャッシュフロー計算書の基本要素

 

会社の現金の流れ、つまりキャッシュフロー(CF)には三種類あります。「営業CF」「投資CF」「財務CF」です。

 

会社のお金が動くのはこれらの3つの活動ですので、これらのキャッシュフローを合計することで1年間のお金の増減額が求められます。

 

「営業CF」+「投資CF」+「財務CF」=「1年間のお金の増減」

 

このように、キャッシュフロー計算書は、会社の一年間の活動においてどんな理由でお金が入ってきて、どんな理由でお金が出ていったのかをあらわした表のことです。

 

それではそれぞれのCFの区分について、しっかり押さえていきましょう!

 

営業活動によるキャッシュフロー

 

キャッシュフロー計算書の最初の区分が、営業CFです。会社が商品やサービスを売るときのお金の流れが記載されているため、キャッシュフロー計算書の中でも最も重要な区分です。

 

営業CFがプラスなら本業が黒字ということを示しており、マイナスなら本業がうまくいっていないことを示します。そのため、営業CFが数年マイナス続きなら、その会社はいずれ資金繰りに行き詰ってしまい、倒産する可能性が高いと考えることができます。

 

投資キャッシュフロー

 

投資活動によるキャッシュフローは2番目に来る区分です。名前の通り、投資に伴う現金の流れが記載されています。投資の内容を大きく分けると、次の二つに分けることができます。

 

一つ目は会社を発展させるための投資。会社の工場や機械、設備などへの投資が該当します。二つ目は株式投資など、お金を有効に利用するための資金運用です。株式を購入すればお金が出ていきますし、逆に株式を売却すればお金が入ってきます。

 

投資CFはマイナスのほうが良い。

 

投資キャッシュフローを見れば、その会社が将来発展するかどうか推測することができます。製造業は設備投資、外食業は店舗拡大など、投資は会社の発展には欠かせないため、お金が出ていこうともどんどん投資していくことが大切です。そのため、投資キャッシュフローはマイナスであることが望ましいといわれています。

 

反対に、投資キャッシュフローがプラスなら資金繰りが苦しくなっている結果、資産や株式を売却して資金を確保した可能性があります。そのため、全体を見通して経営の判断をする必要があります。

 

財務活動によるキャッシュフロー

 

最後の区分が財務キャッシュフローです。財務とは、会社の資金調達の活動のことで、主な調達方法は借金です。借金にも種類があり、銀行から借り入れる借金と社債を発行して投資家から借りる借金があります。また、借り入れには長期にわたって返済できるタイプと短期で返さないといけないタイプがあります。

 

資金調達のもう一つは株式の発行です。株主から出資してもらったお金は返す必要はないものですが、利益が出ていれば株主に配当金として還元するお金を支払うことが一般的であり、この支出も記載されます。

 

借金は絶対に悪というわけではありません。借金が増えていてもその分会社の拡大のために使われる投資が増えていればそれはポジティブな意味の借金です。また、借金が減っていても借金の返済に追われていて本業の営業がうまくいっていないという可能性もあります。

 

フリーキャッシュフロー

 

フリーキャッシュフローとは次のような式で表されます。

 

フリーCF=営業CF+投資CF

 

フリーCFは文字通り会社が自由に使えるお金です。財務CFを除く理由は、借り入れてきたお金は完全に自由に使うことはできません。個人でも、借金してまで投資しようとする人はいないですよね。また、式の中の投資CFの中でも今の事業を維持するためのものに限定されます。基本的には必要最低限の設備投資や配当金などです。

 

フリーCFはいうまでもなくプラスのほうがもちろん良いです。マイナスが意味するのは手元にお金がない、ということですので、これが続くようならかなり危険な会社です。しかし、フリーCFがマイナスでもその年にたまたま営業成績が悪かったのか、設備投資に多く回したのかを内容から判断する必要があります。

 

総合的なキャッシュフロー計算書の見方

 

それぞれの区分を単体で見ていても会社全体がうまくいっているかどうかは判断できません。

たとえば、営業CFが大きくプラスでも投資キャッシュフローがプラスなら設備投資に消極的で将来性が心配されますし、営業CFがマイナスで財務CFがマイナスなら銀行への返済が切羽詰まっているのに、返す資金が稼げていないため、倒産に非常に近い状態ということになります。

 

このようにその会社の良し悪しは各区分を単独で見て判断するのではなく、トータルで見て判断することが重要です。

 

最後に

 

いかがでしたか?この記事を読み終わったときもう一度、上にあるシャープの決算書に目を通してみてください。2018年から2019年にかけて改善しているなという印象が受けられるようになったのではないでしょうか?これが分かってくると勉強がもっと面白くなりますよね?

 

それではまた!